毎月紹介している良かった音楽作品の中から「2016年12月~2017年11月購入作品」を対象に、特に良かった作品(10点満点中8.5点以上)をまとめて紹介します。
[アルバム]
9.5点 DEEPCHORD – AURATONES [SOMA] [CD]
ECHOSPACEやCV313などのユニットとしても活動するデトロイトのRod ModellのプロジェクトDEEPCHORDによる、UKの[SOMA]からは2年振り5作目となるアルバムです。
現在ダブテクノ路線最高峰アーティストと言っても過言ではない経歴とクオリティを誇るRod Modellですが、ノンストップ仕様で展開される心地良いビートによるグルーヴと、幻影を映し出すような霧がかったエフェクト・サウンドと音色の美しさによる世界観の見事な構築力はさらに円熟味を増し、アンビエント性とダイナミズムが共存する醇正な空間が作り上げられ、DEEPCHORD名義のアルバムとしては最高傑作だと言える非常に完成度の高い作品に仕上がっています。
9.5点 FP-ONER – 7 [MULE MUSIQ] [CD]
Fred P.、Anomaly、Black Jazz Consortiumなど多くの名義で活動するUSディープハウスの雄Fred Peterkinによる、FP-ONER名義での[MULE MUSIQ]からの3部作シリーズの3作目です。
美しいメロディや繊細で心地良い音色が一体となったこれまで同様深みのあるコンセプチュアルでドラマチックな世界観の見事な構築は健在で、今作はこれまでよりもテクノ的なダイナミズムが強まった内容になっており、表現の幅を広げつつ独自の音楽性がさらに追求されたハイクオリティな作品に仕上がっています。
前作『6』を「Fred Peterkinの最高傑作と言ってもいい」と書きましたが、今作はそれぞれの楽曲のクオリティ、アルバムとしてのトータルバランスの完成度とも前作以上に満足度が高い素晴らしい内容で、Fred Peterkinが作り上げてきた音楽の一つの到達点と言っても過言ではないアルバムだと思います。
9点 B12 – ELECTRO SOMA Ⅰ+Ⅱ ANTHOLOGY [WARP] [2CD
Michael GoldingとSteve RutterによるUKのユニットB12が1993年に[WARP]からリリースしたファーストアルバムがリマスターされたDisc1に、初期音源が追加編集されたDisc2が加えられた2枚組アルバムです。
デトロイトテクノの影響が色濃い叙情性やSF要素を取り入れながら、幻想的で美しくエモーショナルな自身のスタイルを構築させた、初期インテリジェンステクノを代表する歴史的な名作です。
9点 HARDFLOOR – THE BUSINESS OF BASSLINES [U/M/A/A / HARDFLOOR] [CD]
1991年にデビューし、アシッドハウスを基盤としたTB-303サウンドとベースラインを駆使する独自のスタイルに固執しながらも、テクノ、ダウンテンポ、ブレイクビーツなどのジャンルと融合させることで幅を広げ発展させてきたドイツの偉大なユニットHARDFLOORによる、デビュー25周年を記念した10作目となるアルバムです。
1991年にデビューし、アシッドハウスを基盤としたTB-303サウンドとベースラインを駆使する独自のスタイルに固執しながらも、テクノ、ダウンテンポ、ブレイクビーツなどのジャンルと融合させることで幅を広げ発展させてきたドイツの偉大なユニットHARDFLOORによる、デビュー25周年を記念した10作目となるアルバムです。
エレクトロやヒップホップスタイルも取り入れ、色あせることのないハードフロア節を堪能出来る「マンネリの向こう側」に到達したと言ってもいい完成度の高い作品です。
日本盤CDのみ「Acperience 7」を収録しています。
9点 ORSON WELLS – PNEUMATICS [LIVE AT ROBERT JOHNSON] [2LP]
9点 ORSON WELLS – PNEUMATICS [LIVE AT ROBERT JOHNSON] [2LP]
[DIE ORAKEL]や自身主宰の[SOUND MIRROR]などからリリースするフランクフルトのORSON WELLSが、地元のクラブ兼レーベル[LIVE AT ROBERT JOHNSON]からリリースしたファーストアルバムです。
初期デトロイトテクノテイストを継承するレトロフューチャーな世界観の構築が見事な、非常にクオリティの高いテクノ、エレクトロ、ダウンテンポ、アンビエント作品です。
9点 PRIMARY PERCEPTION – EVIDENCE OF A PRIMARY PERCEPTION [SLOW LIFE] [2LP+10inch]
9点 PRIMARY PERCEPTION – EVIDENCE OF A PRIMARY PERCEPTION [SLOW LIFE] [2LP+10inch]
イタリア人とスペイン人のクルーで構成され、時代を問わないテクノ、ハウスの魅力を追求しているベルリンの[SLOW LIFE]レーベルから、Mahy CruzとNichel Cruzによるカナリア諸島出身の新鋭兄弟ユニットPRIMARY PERCEPTIONのファーストアルバムです。
インテリジェンス・テクノにジャズ要素を取り入れた感じの、コズミックテイストなブロークンビーツ・ハウス、ネオ・エレクトロ作品で、古さと新しさをブレンドした同レーベルらしいハイクオリティな内容に仕上がっており、レーベル同様アーティストとしての今後も期待せずにはいられません。
限定盤の10inchにはレーベル最主力アーティストS.Moreiraのパーカッシヴでファンキーなリミックスと、Indi ZoneとS.MoreiraによるユニットEthereal Logicのアンビエンスなリミックスが収録されています。
8.5点 3KZ – PARALLEL REFLECTIONS [FIDES] [2LP]
8.5点 3KZ – PARALLEL REFLECTIONS [FIDES] [2LP]
2030名義ではデトロイトテクノ、Kaelan名義ではミニマルテクノ、Lxm名義ではダブテクノ作品をリリースするイタリアのNico Campanellaと、Z.I.P.P.O名義で自身主宰の[FIDES]を中心にデトロイトインフルエンスなミニマルテクノをリリースするイタリアのGiuseppe Maffeiによるユニット3KZがリリースしたファーストアルバムです。
躍動感のあるグルーヴと心地良く陶酔感のある美しい音色が見事にマッチした、ハイクオリティなミニマルテクノ、エレクトロ作品です。
8.5点 AS IF – PRESENCE [BINE MUSIC] [CD]
8.5点 AS IF – PRESENCE [BINE MUSIC] [CD]
スウェーデンの[GTERMA]やベルリンの[ROHS!]などからリリースするデンマークのKenneth WernerのプロジェクトAS IFによる10作目のアルバムが、ドイツの[BINE MUSIC]からリリース。
北欧系らしい透き通るような美しい世界観と、心地良い音の響きやグルーヴに陶酔してしまう極上のアンビエンスなディープテクノ、ダブテクノ、エレクトロニカ作品です。
8.5点 CARL CRAIG – VERSUS [INFINE] [CD]
8.5点 CARL CRAIG – VERSUS [INFINE] [CD]
1989年にDerrick May主宰の[TRANSMAT]からデビューし、様々な名義で名作を数多くリリースしてきたデトロイトのCARL CRAIGによる、自らの楽曲をオーケストラで再構築したプロジェクト作品です。
作曲、アレンジにFrancesco Tristano、アドバイザーにMoritz von Oswaldというデトロイトテクノとの繋がりが深いアーティストが関わっており、楽曲本来の持ち味が存分に発揮された生演奏と電子音楽の融合が見事に成し遂げられ、エレクトロニックミュージックの表現方法の幅を広げた名作に仕上がっています。
8.5点 CONFORCE – AUTONOMOUS [DELSIN] [CD]
8.5点 CONFORCE – AUTONOMOUS [DELSIN] [CD]
Versalife、Vernon Felicity、Severnayaなど多くの名義で活動するオランダのBoris BunnikのメインプロジェクトCONFORCEの2年振り5作目となるアルバムが、近3作と同様[DELSIN]からリリース。
これまでダブテクノ、ダウンビート、アンビエント、などの要素を取り込みながら実験的要素を加味し、自身のスタイルとしての世界観を確立させてきた深みのある幻想的なディープテクノ、IDM作品で、これまでのCONFORCEのアルバムの中で最も完成度が高いと思います。
8.5点 DESOLATE – LUNAR GLYPHS [FAUXPAS MUSIK] [2LP]
8.5点 DESOLATE – LUNAR GLYPHS [FAUXPAS MUSIK] [2LP]
JouemやPhidias名義でもリリースするベルリンのSven Weisemannによるエレクトロニカ系プロジェクトであるDESOLATE名義での3作目となるアルバムです。
神々しく美しい、メランコリックでダビーな自身の世界観が形成されたダウンテンポ、エレクトロニカ、アンビエント作品で、Sven Weisemannの才能が遺憾なく発揮された素晴らしいアルバムに仕上がっています。
8.5点 ECHOPLEX – SOLAR EXPERIENCE [SOLAR PHENOMENA] [2LP]
8.5点 ECHOPLEX – SOLAR EXPERIENCE [SOLAR PHENOMENA] [2LP]
2000年代に[SYNEWAVE]や自身主宰の[SOLEIL]などから数多くの作品をリリースしていたポーランドのPeter SliwinskiのプロジェクトECHOPLEXが、カナダの新レーベル[SOLAR PHENOMENA]からリリースした19年振りとなるセカンドアルバムです。
オランダのA Made Up Soundによるリミックスを含め、非常に高水準で純度の高いミニマル、ディープテクノ作品です。
8.5点 FOUR TET – NEW ENERGY [TEXT] [CD]
8.5点 FOUR TET – NEW ENERGY [TEXT] [CD]
UKのKieran HebdenによるプロジェクトFOUR TETが自身主宰の[TEXT]からリリースした、2年振り9作目となるアルバムです。
先行シングルとしてリリースされた極上のテクノ、テックハウストラック「Sw 9 9SI」、「PLANET」を含む、メランコリックなダウンテンポ、IDM、アンビエント作品です。
8.5点 FUTURE BEAT ALLIANCE – COLLECTED WORKS 1996-2017 [FUTURE BEAT ALLIANCE] [3LP]
8.5点 FUTURE BEAT ALLIANCE – COLLECTED WORKS 1996-2017 [FUTURE BEAT ALLIANCE] [3LP]
1996年にデビューし、[VOID]、[DELSIN]、[RUSH HOUR]、[TRESOR]などから名作を数多くリリースしてきたUKのMatthew PuffettによるプロジェクトFUTURE BEAT ALLIANCEが、自身の過去作品をコンパイルしたアルバムです。
デトロイトテクノの叙情性やコズミック路線を継承しながらも、自身の音楽性を表現したスペーシーな作風が存分に堪能出来る、ハイクオリティでエモーショナルなテクノ、IDM、エレクトロ作品です。
8.5点 MANDAR – MANDAR ALBUM [OSCILLAT MUSIC] [5LP]
8.5点 MANDAR – MANDAR ALBUM [OSCILLAT MUSIC] [5LP]
セルフレーベルの[LAZARE HOCHE RECORDS]や[OSCILLAT MUSIC]からリリースするCharlie Naffah、Nick Putman、Samuel Andre Madsenの3人によるフランスのユニットMANDARがリリースした5枚組のファーストアルバムです。
ルーマンアン・ハウスとも親和性が高い、ハイクオリティな極上のディープ・ミニマルハウス作品集です。
8.5点 RADIO SLAVE – FEEL THE SAME [REKIDS] [CD]
8.5点 RADIO SLAVE – FEEL THE SAME [REKIDS] [CD]
[REKIDS]レーベルを主宰し、Cavin Fever、REKID、The Machineなど多くの名義で活動するUKのMatthew EdwardsによるメインプロジェクトRADIO SLAVE名義でのファーストアルバムです。
ディープ・テックハウス、IDM、ディープテクノ、エレクトロ、ダウンテンポ、ブレイクビーツ、アンビエントなどの多彩な音楽性をバランス良くまとめ上げた完成度の高い作品です。
8.5点 STEFFI – FABRIC 94 [FABRIC] [CD]
8.5点 STEFFI – FABRIC 94 [FABRIC] [CD]
ベルリンの[OSTGUT TON]を中心にリリースし、[DOLLY]レーベルを主宰するオランダ出身のSTEFFIが、[FABRIC]のMIXCDシリーズからリリース。
この作品のために用意されたという15曲のエクスクルーシヴトラックを使って、自身や自身主宰の[DOLLY]の音楽性が表現されており、古き良きデトロイトテクノや初期インテリジェンステクノの魅力にモダンテイストが加味され、叙情的な統一感とグルーヴが見事に構築された、上質なテクノ、エレクトロ作品です。
8.5点 STEFFI – WORLD OF THE WAKING STATE [OSTGUT TON] [2LP]
8.5点 STEFFI – WORLD OF THE WAKING STATE [OSTGUT TON] [2LP]
Doms & DaykersやThird Sideなどのユニットとしても活動し、[DOLLY]レーベルを主宰するオランダ出身ベルリン在住のSTEFFIが、ホームレーベルの[OSTGUT TON]からリリースしたサードアルバムです。
これまでのデトロイトテクノやシカゴハウスの影響が色濃いアルバムとは異なる、メランコリックなエレクトロ、IDM中心の作風で、以前紹介したMIXCD[FABRIC 94]とも共通する、自身の音楽スタイルの幅を広げた上質な作品に仕上がっています。
8.5点 THE MULHOLLAND FREE CLINIC – THE MULHOLLAND FREE CLINIC [AWAY MUSIC] [3LP]
Move D、Jonah Sharp、Juju & Jordashの4名によるユニットTHE MULHOLLAND FREE CLINICのファーストアルバムです。
2016年に[AWAY]のパーティーで行われたハードウェアによる即興ライブセットを元に制作されたようで、陶酔感とダイナミズムに溢れたロングトラック中心のディープハウス、アンビエント作品です。
8.5点 V.A. – WE PLAY HOUSE RECORD 10 YEARS [WE PLAY HOUSE] [3CD]
2008年にRED Dが設立し、90年代ニューヨークハウス、シカゴハウス、デトロイトハウスからの影響を基盤としたハウスミュージックの魅力を追求するベルギーの良質レーベル[WE PLAY HOUSE]の10周年を記念したコンピレーションアルバムです。
未リリース25曲を含む3枚組全34曲入りでハイクオリティなモダン・ディープハウス楽曲を堪能出来る、充実した内容の完成度が高い作品です。
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